大型の短波受信機、据置型送信機およびファクシミリ
大型短波受信機
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大型短波受信機(3)国際電気通信(1940年代)
短波通信が海外通信の主流であった1940年代に国際電気通信株式会社がそれまでの運用経験をもとに自社で設計・製造した電信用受信機。受信周波数:4∼20MHz、回路方式:2重スーパーヘテロダイン、第1中間周波数:1MHz、第2中間周波数:100kHz、周波数切替:ターレット方式。短波通信特有のフェージングによる信号の変動を軽減するスペースダイバーシティ受信のために2台の同じ受信機を備えている。
据置き型送信機
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大型短波送信機(1)国際電気通信(1940年代)
短波通信が海外との通信の主流であった1940年代に当時の国際電気通信株式会社で使われていた電信用送信機。送信電力:1kW、送信周波数:短波帯のうちの3波、周波数切換方式:手動スイッチ切替、電波形式:周波数偏移方式(FS)電信、原発振:水晶振動子、出力インピーダンス:600Ω、電源:3相交流220V。送信電力10kW以上の送信機の励振機(エキサイター)としても使われた。 -
大型短波送信機(2)国際電気通信(1940年代)
短波通信が海外との通信の主流であった1940年代に当時の国際電気通信株式会社で使われた電信用送信機。送信電力:1kW、送信周波数:短波帯の3波、周波数切替方式:ターンテーブル式自動切替、電波形式:周波数偏移方式(FS)電信、原発振:水晶振動子、出力インピーダンス:600Ω、電源:3相交流220V。1940年代に製造、1957年にFS式に改造。送信電力10kW以上の送信機の励振機としても使用できる。 -
短波送信機ART-922 安立電気株式会社(1942年)
戦時標準船用の船舶用無線電信短波送信機。出力500kW、発射できる電波は、1AおよびA2A、周波数は5420、5570、6650、8280、8435、8500kHz。発振方式は水晶制御方式と自励発振方式を切り替えて使用できた。海上で使用するため構造は堅固で調整や保守も容易にできるよう作られている。この送信機は戦後、電気通信大学で学生の実習に利用された。 -
中短波 電信電話送信機TMS-4S2 早川金属工業(1943年)
電信電話両用の船舶用中波.短波無線送信機。ブレークイン方式で、発射する電波の形式はA1A、A2A(電信:振幅変調)、A3E(電話:振幅変調)、周波数は375、500kHz、1.6、1.75、3.5、4、8MHz。送信機前面左下に、電信と電話の切り替えスイッチと送話器の挿入口がある。寸法は、幅、高さ、奥行き。 -
SSB 10kw 送信機 JRS-714 JRC
NTTが短波帯で行った船舶通話業務(遠洋船舶電話)に使用した海岸局用送信機である.国際的に割り当てられたJ3E電波 4, 6, 12, 16 及び 22MHz帯を使用し,コールサインJBOにより航海中の船舶と国内の加入電話とを接続した.海岸局業務をKDDに委託し,手動交換方式ではあるが船舶と船会社,乗組員と家族が直接通信可能になった.これは船舶通信の長い歴史の中で特筆すべきことである.
この業務は世界的に1970年頃から開始され,我が国ではGMDSSの以降後2000年頃には終了した.この装置との通信の相手方であるが,優れた技術と多年の経験に基づく秀作のひとつであるので一見の価値ありと思考する.
ファクシミリ
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ファクシミリ送画装置JMA FAX-4 76 松下電送機器(1977)
気象庁から周辺国気象機関、国内地方気象機関に対して、各観測時の各種天気図を伝送する 準大陸放送の短波無線局JMH局の送画装置として昭和40年代後半まで使用された装置。 WMOの規格(回転数 60, 90, 120 RPM, 協動係数 576,288)により製造された機器で、 本機2台で連続送信を行っていた。担当海域を航行する船舶もこの一部(地上解析天気図) を受信して航海の安全を図った。 -
ファクシミリ受画装置FH-96RB 日本電気(1967)
無線模写電送による気象図の送受信が普及し始めた頃の機器である。当時は最新鋭の装置で 各社が画像記録機構の優秀性を競っていた。この装置は気象庁が採用した方式で、通電発色 方式の湿式記録紙を使用し、螺旋回転走査を主走査とする、今では珍しい記録機構を持つ装 置である。受信機部分は内蔵せず、外部受信機からの低周波信号を受け、SCFMとRFCS の二種類の電波型式に対応して受画可能である。 -
無線模写電送装置リーダー 日本無線(1982)
共同宇通信社が船舶向けに日本語新聞(共同ニュース)を送信した送画装置機で、船舶向け気象FAXの送信規格に合致する協動計数288, 576、回転数60 r.p.m.で送信する。本機は比較的新しい平面走査方式の装置で、電波型式F3C 周波数4316, 8467.5 17069.6 22542kHzなどで送信された。現在もシンガポールや鹿児島漁業無線の中継により継続されている。