最初期の送信用真空管
最初期の送信用真空管
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ラングミュアーチューブ GE(1912-13年頃)
送信管の研究を進めていたGEのラングミ ュアーが1912-13年頃試作した3極管のプロ トタイプ。プレートに高電圧をかけられるよ う真空度を極限まで上げるため、プレートを 折り返したワイヤーで作って、その両端のリ ードを管外に引き出し、排気工程中に通電加 熱して吸蔵ガスを排出させた。フィラメント は純タングステン。ベースなし。 -
204A/タイプS WE (1915)
1915年、パリと米国東海岸のアーリントン 間の大西洋横断無線電話実験(世界初)の際、 送信機の終段変調用として開発された3極管。 プレートは幅5mmほどの金属リボンで、ラン グミュアー・チューブと同様、その両端から 外部にリードを引出し、通電加熱して吸蔵ガ スを排出させた。フィラメントは酸化皮膜型。 ベースはこの真空管にしか用いられなかった 特大のUV型。 -
TF-HC-3F マルコニー(1913年頃)
1913年頃、英マルコニーのラウンド大佐が 開発した3極送信管。大きいガラス・バルブ の内径一杯に円筒形のプレート(端子は管頂) を設け、その中に金網を巻いたグリッドと3 組の独立した純タングステン・フィラメント を配置している。 -
E4M 仏ピロン(1916年頃)
1916年頃、フランスのピロン社が発表した 3極送信管。TMC型を大きくしたような構造 (50W型)。プレートとグリッドを管頂から 引き出し、ベースは仏/英型4ピンから1本抜 き取ったもの。フィラメントは純タングステン。 -
T-1 マルコニー(1917)
1917年に発表された、プレート損失 150Wの3極管。同軸円筒形の電極で、V 形のフィラメントは純タングステン。ベースはなく、球形の中心部から上下に伸びた ガラス管をクランプし、垂直のパネルに固定する原始型。 -
フォトス 仏(1920年代初期)
1915年にフランスで開発されたTM型 3極管を送信用にやや大型化したもの。こ のサンプルはフィラメントがトリエーテ ッド・タングステンのため、1920年代初 期の製品と思われる。 -
RS5 テレフンケン(1918)
1918年に誕生した3極管。プレート電 圧600-800Vで10-20Wの出力が得られた とのこと。フィラメントは8-12V/3Aの純 タングステン。ベース・ピンは3本で、プ レート端子は管頂。ガラス細工が見事。 -
オッシリオン ディフォレスト(1915年頃)
1915年頃、ディフォレスト社が送信用とし て作った3極管。球形オーディオンを大きく したような電極構造。ベースはUV型。これ を用いた送信機が歌うような発振音を出した ため、シンガータイプと呼ばれたとのこと。 -
タイプG WE(1920年頃)
1920年頃、高出力の3極送信管としてWE が開発した、現在でもポピュラーな211のプ ロトタイプ。最初期の電話用管と同様、ガラ ス棒で電極を支持する構造。フィラメントは 酸化皮膜型。ベースなし。 -
211A WE(1921)
タイプGの量産型(1921年)。212族と同 じく、酸化皮膜型フィラメント使用(9V/3.4A)。 金属シェルの大型UVベース。1924年に 211Dに置き換えられた。最初はプレート損失 50Wだったが、後に100Wにまで増力され、 賞用された。この211族は大変賞用され、RCA 系列のメーカーでも同じ211の型番で生産さ れた。 -
212D WE(1920年代の初め)
1920年代の初め、大型送信管の需要が高ま り、プレート損失250Wの3極管タイプIが 試作された。1921年に212Aとなり、1924 年に212Dに進化した。フィラメントは 13V/6.3Aの酸化皮膜型。 228A(出力段)と ともにNHKの初代放送用送信機(変調段) に用いられた。 -
228A WE(1926)
米WEが始めて開発した3極水冷式送信管 220A(1922年)に続いて1926年に完成した。 プレート損失5kW。NHKが愛宕山でラジオ 放送を始めたとき、WE社に発注した6A型放 送機(定格出力500W)の終段管。出力を1 kWに増大する特注仕様だったため納期が遅 れ、初放送に間に合わなかった。