卓上計算器およびタイプライター
卓上計算器
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そろばん
日本で古くから使われてきた計算の道具。正確にいうと、そろばんは十進法の数を記録するレジスターであり、計算は使用する人間が行う。構造は簡単で低価格であるが、使いやすく作られていて、訓練により非常に速く計算できるようになる。そろばんでは十進1桁を上段の五珠1個と下段の一珠4個によって表すが、一珠が5個のものもある。そろばんは16世紀ころに中国から伝えられたが、そのときは、五珠が2個、一珠が5個であった。 -
計算尺
乗除算、冪、根などの計算を簡単に実行するための計算具。原理は2つの数の積の対数がそれぞれの数の対数の和に等しいことで、計算は対数目盛をつけた2本の物差を相対的に移動して和の目盛を読んで行う。計算尺が使いやすい形にまとめられたのは1850年頃で、理工系の計算に広く使われたが関数電卓の普及とともに1970年代に姿を消した。ヘンミ計算尺は日本の竹を使って作られていて環境による変化が少なくまた使いやすい。 -
機械式卓上加算器 American Adding Machine V
米国製機械式卓上加算器。7桁の数をつまみの付いたレバーによってセットし、正面右の黒い手のついたハンドルを下げるとセットされた数が8桁の累算レジスターに加えられる。このとき、正面左のレバーが上の位置にあると、セットされた数が0にリセットされ、下にあると変わらない。累算レジスターのリセットは右側面のレバーで行う。寸法:180x210x240(mm)。 -
機械式卓上加算器 BRUNSVIGA Model A Grimme, Natalis & Co.(1898-1920年頃)
GNC社がオドナーの設計にしたがって制作・販売したピンホイール機械式計算器。パネル左上にモデルAのロゴがある。置数レジスター12桁、累算レジスター20桁、計数レジスター12ケタ。各レジスターのリセットレバーはハンドルではなく、蝶ねじ型が使われている。寸法:200mm(H)x140mm(D)x120mm(H)。重量:9.6kg。 -
機械式卓上計算器 MARCHANT XL MARCHANT(ca.1924-1933)
米国製ピンホィール形卓上計算器。上部左に9桁の置数レジスター、右に9桁の計数レジスターが固定され、下部に18桁の累算レジスターがある。累算レジスターはシフトレバーで左右に1桁ずつ移動する。計数レジスターに1が加算される位置は、カーソルで示される。右側面に加減算用のハンドルと計数レジスターのリセット用ハンドルが、左に累算レジスターのリセット用ハンドルがある。 寸法:410mm(W)x160(D)x160mm(H)。重量:7kg。 -
機械式卓上計算器 ORIGINAL ODHNER(193x年)
スウェーデン製ピンホイール形機械式卓上計算器。置数レジスター10桁、累算器13桁、計数レジスター8桁。基本機能は、加算、減算、1桁シフトで、これらを組み合わせて乗算、除算などを行う。連乗機能付。計数レジスターに桁上げ機能はない。最下部に計数レジスターと累算器が並ぶキャリエージがあり左右に1桁ずつシフトできる。上部の置数レジスターにはレバーで数値をセットする。寸法:195mm(H)x140(D)x125mm(H)。最大幅:350mm。重量:5.2kg。 -
タイガー計算器(1940年代)
タイガー計算器は、コンピューターが利用されるまで科学技術計算などに広く使われた機械式卓上計算器。基本の機能は、加算、減算、右または左への1桁の桁移動(シフト)で、乗算と除算はこれらの演算を組み合わせて実行する。 歯車などを利用した機械式卓上計算器は17世紀後半にパスカルとライプニッツがそれぞれ作ったのが最初で、桁上げ機構や数をセットする機構の改良をへて1890年代に基本形が完成された。 -
タイガー計算器(1948年)
タイガー計算器株式会社が2次大戦後の早い時期に販売したピンホイール型の機械式卓上計算器。基本の演算は加算、減算、左右への1桁シフトで、これらを使って乗算、除算などを行う。置数レジスター10桁、累算レジスター18桁、計数レジスター10桁。 タイガー計算器は1923年大本寅次郎によって作られ虎印計算器と命名されたのが最初で、1970年頃まで製造された。タイガー計算器は製造番号がわかると製造年を調べることができる。 -
タイガー計算器(最後期)
最後期のタイガー計算器。旧来の機種と比べて、基本機能が加減算とシフトであること、また桁上げ機構などの内部の構造に大きな変化はないが、カバーがプラスチック製になって軽くなり、また入力レジスターのクリアレバーが加減算ハンドルの下部に置かれるなどの変化があった。価格は約3万円。このあと、コンピューターや電子式卓上計算器の普及とともにその役割を終えた。 -
機械式卓上計算器 ORIGINAL ODHNER 125 ORIGINAL ODHNER(1952-55)
スウェーデン製ピンホイール形機械式卓上計算器。全機能を備え、レジスターも置数レジスター10桁、累算器20桁、計数レジスター11桁と桁数が多い。寸法:240mm(H)x150mm(D)x140mm(H)。最大幅:420mm。重量:6.7kg。 -
機械式卓上計算器 ORIGINAL ODHNER 227 ORIGINAL ODHNER(195x年)
スウェーデン製ピンホイール形機械式卓上計算器。置数レジスター10桁、累算器13桁、計数レジスター8桁。200シリーズは1955年から1970年代初期に製造をやめるまで続いた。寸法:185mm(H)x160mm(D)x125mm(H)。重量:5.5kg。この計算器の機能的スタイルはスウェーデン王室のメンバーで工業デザイナーのSigvard Bernadotte による。 -
機械式卓上計算器 FACIT NTK FACIT(c1954)
スウェーデン製ピンホィール型機械式卓上計算器。置数レジスターへの数の入力が固定されたテンキーによって行われるのが特徴で、13桁の累算レジスター、8桁の計数レジスターは固定され、9桁の置数レジスターが移動する。テンキーが下部に、その上に置数レジスター、最上部に累算レジスターと計数レジスターが配置されている。赤いキーによって置数レジスターのシフトを行い、加減算を行うハンドル、計数レジスターと置数レジスターのリセットレバーが右側面に、累算レジスターのリセットレバーが左側面にある。寸法:225mm(W)x200(D)x150mm(H)。重量:6.3kg。 -
機械式卓上計算器 FACIT NTK C1-13 FACIT(c1957)
スウェーデン製ピンホィール型機械式卓上計算器。置数レジスターへの数の入力が固定されたテンキーによって行われるのが特徴で、13桁の累算レジスター、8桁の計数レジスターは固定され、9桁の置数レジスターが移動する。テンキーが下部に、その上に置数レジスター、最上部に累算レジスターと計数レジスターが配置されている。赤いキーによって置数レジスターのシフトを行い、加減算を行うハンドル、計数レジスターと置数レジスターのリセットレバーが右側面に、累算レジスターのリセットレバーが左側面にある。寸法:225mm(W)x210(D)x150mm(H)。重量:6.2kg。 -
機械式卓上計算器 BRUNSVIGA 13RK Grimme, Natalis & Co.(1950年代)
ドイツ製ピンホイール形機械式卓上計算器。置数レジスター10桁、累算器13桁、計数レジスター8桁。連乗機能付。正面上から、計数レジスター、置数レジスター、累算器の順に配置されている。寸法:150mm(H)x220mm(D)x165mm(H)。最大幅:290mm。重量:6.2kg。 -
機械式卓上計算器 BRUNSVIGA 13RM OLYMPIA WERKE AG(1960年代)
ドイツ製ピンホイール形機械式卓上計算器。置数レジスター10桁、累算器13桁、計数レジスター8桁。基本機能は、加算、減算、1桁シフトで、これらを組み合わせて乗算、除算などを行う。最下部に計数レジスターと累算器が並ぶキャリエージがあり左右に1桁ずつシフトできる。上部の置数レジスターにはレバーで数値をセットする。寸法:300mm(H)x200mm(D)x120mm(H)。重量:6.5kg。 -
機械式卓上計算器 NCM SM-21 日本計算機(1956年頃)
日本製ピンホイール形機械式卓上計算器。置数レジスターが上部に、累算レジスターと計数レジスターが下部の左右に移動するキャリッジに配置されている標準的な構成になっている。置数レジスター10桁、累算レジスター21桁、計数レジスターは11桁。寸法:357x130x170(mm)。重量:7.4kg。価格:35,000円。 -
機械式卓上計算器 NCM HL-21 日本計算機(1964年頃)
日本計算器が1964年にSM-21を改良して生産したピンホイール形機械式卓上計算器。置数レジスターが上部に、累算レジスターと計数レジスターが下部の左右に移動するキャリッジに配置されている標準的な構成になっている。置数レジスター10桁、累算レジスター21桁、計数レジスターは11桁。 -
機械式卓上計算器 PILOT P-1 パイロット計算器(1960年代)
日本製ピンホイール形機械式卓上計算器。当時の国産計算器の中では最も小型であった。置数レジスター7桁、累算レジスター12桁、計数レジスター6桁が、下から上にこの順序で配置されている。 -
Casio 001 カシオ計算機(1965)
カシオ計算機の最初の電子式卓上計算器、電卓。1965年に発売され、10進8桁、演算回路はトランジスター、表示はニクシー管。寸法:37×25×53(cm)。重さ16.5kg、38万円であった。 世界最初の電卓は1962年に英国で真空管を使って作られた。日本では1964年にシャープとキャノンがトランジスター式、大井電気がパラメとロン式の電卓をビジネスショーに出品したのが最初である。いずれも高価であったがよく売れたそうである。 -
電子式卓上計算器 AL-2000 カシオ計算機(1965年)
カシオ計算機の最初の電子式卓上計算器、電卓。1965年に発売され、10進8桁、演算回路はトランジスター、表示はニクシー管を使い、重さ16.5kg、38万円であった。世界最初の電卓は1962年に英国で作られ、日本では1964年にシャープとキャノンがトランジスター式、大井電気がパラメとロン式の電卓をビジネスショーに出品したのが最初であった。いずれも高価であったがよく売れたそうである。 -
Casio MINI カシオ計算機(1972)
カシオ計算器が1972年に発売し、”答え一発カシオミニ”のコピーに乗ってベストセラーになった電子式卓上計算器、電卓。10進8桁、演算回路は1個の集積回路で作られ、表示は緑の蛍光表示管使用している。電源:単3乾電池4本。寸法:156×82×33(mm)。重量:256g(本体196g)。価格:12800円。 -
Hand Held Scientific Calculator Hewlett Packard(1973)
Hewlett-Packard社が1972年に400ドルで発売した最初の関数電卓。技術者が必要とする対数関数と三角関数の計算を実行する機能を備え、以後計算尺は急速に使用されなくなっていった。また、計算を通常の括弧を使う式によって行わず、a+bをab+、あるいは(a+b)x(c+d)をab+cd+xと表す逆ポーランド記法によって入力することでも有名である。演算は集積回路により行い、表示はプラズマディスプレーを使っている。 -
電子式卓上計算器 SOBAX ICC-2600 ソニー (1971)
集積回路を使用したテンキー方式卓上計算機。表示は15桁(ニキシー管)。電源はAC90-117V。価格:348,000円。寸法:。 SOBAXはSOLID STATE ABACUS の略で、1967年から1973年まで多くの機種が発売された。 -
Desktop Calculator MODEL 97 Hewlett Packard (1976)
ヒューレットパッカード社が1976年から1982年にかけて製造・販売した、磁気カードとプリンター内蔵、プログラム可能なポータブル卓上計算器。プログラムメモリー:224ライン。データ:固定小数点、浮動小数点。定数メモリー:26。サブルーティン:3層。内蔵関数:28。番地指定:シンボリック、絶対番地、間接番地、相対番地。表示桁数(10進):少数部10桁、指数部2桁。寸法:22.5×20×6.5(cm)。価格:220,000円。
タイプライター
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Remington Portable Typewriter Remington
レミントン社が1920年に発売したポータブルタイプライター。子供が1人で運ぶことができるくらい軽く、小型でどこにでも置くことができ、しかも耐久性があり、十分な能力を持つ機種として作られた。また、印字機構を持ち上げる独特の機構と、標準的な鍵盤を備えている。 -
Classic 12 Typewriter Smith Corona(1977)
スミスコロナ社が1968年に発売したポータブルタイプライター。機械式のタイプライターとしては最後期のものでhalf-space key、line space selector などの機能が加えられている。キャリッジは12インチ(30cm)、同型でキャリッジが15インチのClassic 15もある。付属のケースがあるが、運ぶのはかなり重い。 -
携帯用タイプライター Standard Portable Typewriter Underwood (1929)
1920年代に旅行用に開発された携帯用タイプライター。軽く、丈夫で、小型であり、多くの用途に使用された。1929年の取り扱い説明書が付属している。 -
邦文タイプ Panwriter 日本タイプライター(1976)
最後期の和文タイプライター。一般消費者を対象に、機能を限定して簡素、小型化を図った機種。活字は、漢字、ひらがな、カタカナ、大小英文字、アラビア数字、各種符号などが含まれている。活字は平らな活字盤上に並べられていて、印字する文字上にカーソルを移動して印字レバーを押し下げると、活字が拾い上げられ印字が行われる。縦打と横打はレバーで選ぶ。邦文タイプとも呼ばれていた。 -
電動タイプライター Smith-Corona 250 Smith-Corona(1944)
初期の電動タイプライター。電動でないタイプライターと同じ構造で、タイプユニットが動かず、プラテンが移動するので、リターンのときにプラテンが勢いよく戻る。その後、電動タイプライターは、静止したプラテンの前を小型で軽いタイプユニットを移動させるようになった。 -
クラインシュミット 鍵盤鑽孔機 用賀精工(1954)
鍵盤上の文字に対応するモールス符号を自動高速電信用の2単位テープに鑽孔する機械。長点と短点はそれぞれ2個あるいは1個の2単位符号で表される。鍵盤上には41個のキーと1個のスペース用キーがタイプライター式に配列されていて、キーを押すとカナ1字のモールス符号と次にくる間隔にたいする穴の列を一度に鑽孔する。 -
電子コンパクトタイプライター ELECTRA 61 JP116-621 ブラザー工業株式会社
デイジーホイール印字エレメントを使い高品質(IBM SELECTRICと同等)の印字をする電動タイプライター。タイプライターから電子式のワードプロセッサーへ進化する中間にあるもので、活字を使いきれいな印字結果がえられる。また、オンラインの使用もできる。46キー、印字速度:毎秒15文字、印字幅:1インチあたり10文字、12文字、15文字、行ピッチ:1、1.5、2行、寸法:437x135x391(mm)。 -
ポータブルタイプライター OLYMPIA Model 99 OLYMPIA WERKE AG.(1967)
ドイツ製ポータブルタイプライター。皮製携帯用カバンつき。ドイツ語キーボード。9.5"。リボン2色、ラインスペース 3段階、タッチコントロール、コレクティングスペースバー。寸法:300x300x75(mm)。